2012年11月16日金曜日

God Save the Queen

みなさまこんにちは。はじめて投稿させていただきます。早稲田大学大学院政治学科政治思想領域博士課程のsararaと申します。

小林真理先生の「文化政策」の授業を毎週とても楽しみに受講しています。先生の講義内容は、領域は異なるのですが私自身の従来の興味関心と重なる部分も多く、いつも刺激をいただいています。

文化政策が、フランス革命以降の芸術の民主主義化、とりわけ「民衆のための劇場」の構想にまで遡るというお話は特に興味深いです。大衆は国家の思惑からある種の官製文化を押し付けられているわけですが、それをしたたかに換骨奪胎して真の大衆の芸術に仕立て上げたというケースもあるのではないでしょうか。こんなことを考えたのは、文部省唱歌を分析した渡辺裕『歌う国民 唱歌、校歌、うたごえ』(中公新書)を読んだからなのですが。

ところで、歌う国民ということで言えば、1970年代に英国のふたつのロックバンドQueenとSex Pistolsが、ほぼ同時期に、God Save the Queen という曲をリリースしていることはよく知られています。クィーンのほうは正真正銘のイギリス国歌を最高傑作といわれるアルバム『オペラ座の夜』のフィナーレとして演奏しているのですが、ピストルズのほうはパンクロックの真骨頂という曲と王室やエリザベス女王を侮辱していると言われる歌詞とで物議をかもした代物です。ちなみに冒頭の歌詞はこんな感じです。

God save the Queen, her Fascist regime
It made you a moron, potential H-bomb

God save the Queen, she ain't no human being
There is no future, in England’s dreaming

今年、そのピストルズのGod Save the Queenがロンドン・オリンピックの開会式の音楽にイントロと最初のフレーズだけカットインする形でリミックスされていたことで、再び話題になりました。プロデューサー(『トレインスポッティング』の監督ダニー・ボイル)の遊び心もしくは何らかの意図の表れだったのでしょうが、エリザベス女王その人もいらっしゃる会場でいわくつきのパンク版国歌を流すとは。

パンクロックが英国文化の一部であることを印象づけた出来事でした。ボイルの冒険心に私は感銘を受けましたが、反抗的でオルターナティブな文化をも呑み込み同一化して英国文化という財を拡大させ、国家の活性化に利用しようというしたたかな文化政策なのかもしれないとも感じました。

ちなみにamazon.co.jpでは7インチ・アナログが8000円くらいで売っているようです。
http://www.amazon.co.jp/God-Save-Queen-inch-Analog/dp/B000UR1GV0

(早・sarara)

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