2012年6月28日木曜日

文化的生活とボランティア

皆さま、初めまして。
東京藝術大学大学院 修士2年の宮下信子です。
初投稿ですので、簡単な自己紹介と授業を受けて感じたことについて書きたいと思います。

私は現在熊倉研究室に所属し、アートボランティアについて研究しています。
アートアクセスあだち「音まち千住の縁」という、音をテーマに展開するまちなかアートプロジェクトの運営に携わる中で、アートに関わるボランティアの人々の実態について非常に興味を持ちました。
当初はボランティアをする人々のモチベーションについて研究していましたが、現在はアートプロジェクトのボランティア活動を通して、参加する人々にどのような変化が表れているか、というところに少しシフトしています。
今年度修士論文を書いて卒業ということもあり、今さまざま悩んでいるところです。


さて、先日27日(水)の授業で、ドイツの文化政策と文化権の話に入りました。
その前提として、小林先生の研究の問題意識についてもお伺いし、非常に興味深く聞いていました。

「人々がどのように文化を享受して豊かになるか、幸せになるか」を考える際に、「文化権」の保障が鍵になるのではないか。
では、その「文化権」とはどうあるべきなのか。

これは、ドイツに限らず、ありとあらゆるレイヤーの文化政策において、真摯に考えなくてはならないことだと感じました。
しかし、一番この権利について考えなければいけないのは、むしろ権利が認められている我々一般市民なのではないかとも感じました。
もちろん、行政より制度として「文化権」が保障され、人間の権利として認められ、人々の認識にも浸透することも考えなくてはならない。しかしその一方で、この保障された権利をどのように主張し、活かすのか、ということは意外と人々にとって「?」の部分なのではないかと思ったのです。
この権利を活用して「文化的生活」を過ごす人がどれくらいいるのか、どういう生活が「文化的生活」なのかということを考えてみると面白いのではないかと感じたのです。


そこで、「文化的生活」を送っている人々の1つのパターンとして、アートボランティアという生き方があるのではないかと考えるにいたりました。
彼らは積極的に現代アートなどのさまざまな文化を享受し、それを生活の一部として認識している。
この状態はまさに、「文化権」の活用を示す現象なのではないでしょうか。
まだ思いつきの段階ですので、論としては非常に浅いですが。。。
これを足掛かりに「文化権」や「文化的生活」について考えてみたいと思いました。
皆さまのご意見もお聞きしたいです。





最後に、他大学の方々との交流の場、非常に楽しみです。
どうぞよろしくお願いいたします。


(芸・nbkm)






4 件のコメント:

  1. nbkmさんお疲れ様です。芸大プロ4のヒョウです。

    文化権の活用としてのボランティアという観点は非常に興味深いですね。
    (茶・しぶ)さんが書いて下さった「アマチュアとプロ」も、アマチュアとして活動を続ける文化権という観点で考えられるかなとも思いました。

    ところで、「文化的生活」という概念がやはり曖昧なので...たとえば、足利市に映画館がオープンしたら、足利市に住んでいる多くの人々は以前より文化的生活を過ごし、文化権をより享受すると言えるでしょう。しかし、その映画館で映画を見る権利の代わりに、映画の現場でボランティアをする権利を与えられることになると、それを文化権の享受として満足する人がどれぐらいいるか気になりますね。これはもちろん極端な例ですが、文化的生活あるいは文化権の中でも優先順位によるヒエラルキーが生じるということです。当然ながらこれを定義するのは非常に困難なので、幸福権などについての議論と同様に、終わらない迷路に陥る可能性が高いのではないかと…

    追伸。 このブログのシステムは前の文章に新しいコメントがついたことが分からなくなっているのでしょうか。僕には、毎回全部の投稿をクリックしてみるか、各コメントの数を覚えるしかないですが、いい方法があったら教えて下さい。ちなみに、<批評するということ。批評家の役割。>にも長いコメントを書かせていただいたので、みなさんのご意見を伺いたいです。

    (芸・Hyo)

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    1. Hyoさん、コメントありがとうございます。
      「文化的生活あるいは文化権の中でも優先順位によるヒエラルキーが生じる」というのは確かにそうかもしれないですね。ヒョウさんが例に出してくれたように、映画館で映画を見るという段階なのか、映画の現場でボランティアをするという段階なのか。はたまた、クラシック音楽の現場に参加するのか、といったことも考えれらますよね。それはもしかしたら、何が文化で何が芸術かという区分けにもつながるのかもしれないなとも思いました。


      また、新規のコメントの表示については良く分からないです。
      何か方法があるかもしれないですけど。。。
      このブログのソフトについて勉強しないといけないですね。

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  2. こんにちは、
    非常勤じゃないほう(?)で授業受けてますmihousagi_nです、はじめまして!

    文化権は研究テーマなんですが、
    どちらかというと保障という切り口で研究していたので、
    一人ひとりそれぞれの活用、その方法として「アートボランティア!」というnbkmさんの指摘は、見方を広げてくれるもので面白かったです、ありがとうございます。

    権利って使わないとなくなっても文句が言えないところもあるから。。。
    アートボランティアでも、まちなか映画館でも、
    いろんな文化権の活用の方法を考えるのは大切だし、
    クリエイティブで楽しいですね(^ワ^)*

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    1. mihousagi_nさん、はじめまして。コメントありがとうございます!

      小林先生の研究室だとそのような切り口になるかもしれないですね。
      私自身は制度としての文化権というよりは、文化権という権利が人びとにどのような変化を与えるのかの方に関心があるので、今回のような文章を書かせていただきました。

      お互いの研究室の専門性が異なるので、このような場で交流できるというのはすごく勉強になりますよね!
      また、ぜひ意見交換させてください。

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