2012年12月20日木曜日

開発援助と文化



皆さまこんにちは。
早稲田大学政治学研究科の aki と申します。
小林真理先生の「文化政策」を受講しています。
2年前にタンザニアの中学校でボランティアをした経験から、
「子どもの名前」と「宗教を伴った開発援助」について考えてみたいと思います。

まず皆さんタンザニアについてご存知でしょうか。
タンザニアは東アフリカに位置する国家であり、日本ではキリマンジャロやマサイ族が比較的有名です。
他部族からなる国家ですが目立った衝突も無く、独立から50年間平和に成長しています。

そんなタンザニアへボランティアへ行って1番驚いたのが「子どもの名前」でした。
タンザニアには生徒の名簿のようなものはなく、生徒の名前は1人1人聞いてメモしなければならないのですが
公用語であるスワヒリ語や部族の言語に由来する名前は発音の難しいものが多いです。
60人分(1クラス)の名前を覚えるとなると大変だと覚悟していたのですが、
実際に尋ねてみると「ビビアン」や「クリス」など耳に親しんだ英語の名前も多く、
イスラム教、伝統的宗教に由来した名前と同じくらいの割合でした。

英語の名前が多いことは、イギリスの旧植民地であるためでもあるのですが、今回は宗教の影響について考えてみたいと思います。
まず、かつてタンザニアでは各部族が土着の、伝統的宗教を信仰していました。
現在はキリスト教・イスラム教がその規模を拡大しておりますが、
このようなキリスト教やイスラム教の割合を高めた要因の1つとして考えられるのが、
植民地支配期の布教活動や開発援助に伴った布教活動です。
と言いますのも、布教活動は教育開発を伴うケースが多く、植民地支配期の教育機会の拡大に貢献したと言われているからです。
独立期に教育を受ける人々がキリスト教やイスラム教の洗礼を受けていったこと、
現在も私立の学校の運営が、宗教NGOによる開発援助により成り立っていることから、
タンザニアには宗教的な学校が多く、人々の間に宗教が広まりやすい土壌があることが分かります。
(もちろん植民地時代のイギリスの政策も多いに影響しているでしょうが...)
かつては大半をしめた伝統的宗教の信仰者が減少傾向にあり、現在はキリスト教・イスラム教・伝統的宗教は同じくらいの割合で分布しています。
このような新しい宗教の拡大によって、キリスト教やイスラム教を信仰する夫婦が増え、
生まれた子どもに宗教に由来する名前をつけたことから、伝統的な名前の減少に繋がったようです。

余談ですが、近年は宗教に由来しない個性的な名前も増えており 'Godlisten', 'Godess', 'Happiness', 'Lovely' といった名前の子どももいました。
日本でも個性的な名前が「キラキラネーム」などと言われておりますが*、
その現象は先進国のみならず、タンザニアのような最貧国と呼ばれる国でも顕著なようです。


*「新生児の名前「Apple」「Siri」が急増 米調査(12/3)」 http://www.cnn.co.jp/fringe/35025164.html (2012/12/21アクセス)
先進国の「子どもの名前」が取り上げられているニュース記事。


(早・aki)

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