皆さん、どうも初めまして!東京芸術大学院修士1年の「芸・Marimo」です。よろしくお願いします。
まずは今までやってきたことと興味の対象について紹介します。僕は大学在学中に、劇場付属のカンパニーに所属しました。そのときに、社会における劇場のあり方やレジデンシャルカンパニーをもつ劇場が地域の人々にとってどのような役割をもつのかということに興味をもち、講義を受講しました。
さて、ご存知の方もいらっしゃると思われますが、最近「劇場法」(正式名称は「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」)なるものができました。劇場法というのは、国が劇場の役割を規定し、なぜ劇場が必要であるかという根拠を与えるものであります。劇場法が作られる以前は「文化芸術振興法」の理念によって、劇場や公共ホールの実演芸術が振興されていました。では実際に「劇場法」ができたことによって以前とどのような変化がもたらされるのでしょうか。「劇場法」の賛否について見ていきます。
まず、日本における公共ホールは法律によって「集会所」としての役割をもっていたと言えるでしょう。というのも、優れた設備をもつ公共ホールはたくさんあり、貸し館として使われる公共ホールが大半であったからです。よって公共ホールは芸術を生み出す場としての役割を規定されるものではありませんでした。このような背景にあって「劇場法」ができたことで予算の取り付けのときに国に対して、自主事業の正当性を明らかにすることができると考えられます。これが「賛」の部分にあたると思われます。
一方で、「否」の部分は実際には結局何も変わらないという点です。それはまず、平田オリザが「劇場法」に組み入れたかった、各劇場への明確な予算配分は実現しなかったということが挙げられます。国がもし劇場や公共ホールにある一定の予算を配分したら劇場は付属のカンパニーをもったり、貸し館中心ではなく様々な自主事業を催すことができたりするのだが。
また、各地の条例などによってすでに前述した正当性が確保されていたところもあります(例えば、静岡市や新潟市など)。「劇場法」がより細かい規定を盛り込むことができたとしたら、すでに条例によって正当性を確保している劇場付属のカンパニーや様々な自主事業を行う劇場はより自由にその特色をだすことができただろうに。
このように考えてみると、残念ながらこの度の「劇場法」には現場への効力はあまりないように感じられます。しかし、「劇場法」が成立したことは、国と劇場との関係を深める契機となったのではないでしょうか。したがって、公共ホールはこの「劇場法」を鑑みることで今後どのような事業を展開していくのかが鍵になっていくのではないでしょうか。
劇場法や劇場に関するコメントなどありましたらよろしくお願いします。
関係ウェブサイト
「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」
(http://www.bunka.go.jp/bunka_gyousei/hourei/ongaku_houritsu.html)
(芸・Marimo)
芸・Marimoさん
返信削除始めまして、茶・seikoです!
私もあまり効力がないと思いますし、日本において数や設備のハード面は充実していますが、一方でソフト面が伴わない現実があるように思います。
海外のように芸術監督やをおくか、それが無理でも芸術に対する理念取り決め、遂行していく団体のようなものが各々なければホールであって劇場にはならないように思います。
劇場として認識される方向へ向かっている今、何かもう一歩踏み込んだ変化があるといいのですが…
(茶・seiko)
はじめまして、茶・seikoさん!
削除観劇するための劇場に向かっていくならば、やはりソフトの面の整備はかかませんね。
それに、国にはいままで民間や地方自治体でつくりあげたものを壊さずにできるだけ吸い上げ、独自の劇場のあり方を探ってほしいです。
(芸・Marimo)
芸・Marimoさん
返信削除おつかれさまです。こあず(芸)です。
先日、静岡のSPACの「ふじのくに⇆せかい演劇祭」行って来ました。
東京の舞台芸術関係者が目立つ中、ひとりの地域の方と話すことができました。
その方は、定年後にSPACの活動に市民参加プログラムで関わり、
それ以来長くSPACの作品・活動を見続けていると楽しそうに語ってくれました。
たったひとりの最もミクロな声ですが、
アフタートークで登壇し「演劇で地域が変わるさまを見たい」と語った宮城聰さんや
SPACに関わり働く人びとの創りだした変化の一端を垣間みた気がします。
各地で尽力しているカンパニーを本当の意味で後押しできる劇場法ができることが、望まれますね。
(芸・こあず)
こあず(芸)さん
削除おつかれさまです。
新潟のほうはまだまだミクロな声がなかなか増えていってないように思います。ある公演のチラシ配りをしているときも、「君たち税金で雇われているんだよね?」と言われたこともあって、劇場専属の芸術団体が地域に根ざしていくのはなかなか難しいのだと痛感してしまいました。
劇場法によって劇場専属カンパニーや公共ホールが市民にとって有価値な存在として受け入れられていくことが重要だと感じます。
(芸・Marimo)
芸・Marimoさん
返信削除こんにちは。芸・nbkmです。
先日別の授業で、劇場法全文とそれに関する法律案要綱、劇場、音楽堂等の制度的な在り方に関するまとめを読みました。Marimoさんが指摘しているように、「賛」「否」どちらも納得できる意見だと感じました。解釈の仕方や使い方でどうとでもなりそうな気がすごくします。恐らく、今劇場や音楽堂が置かれている現状を可視化するためのものとして、このような形で法律化されたのではないかと思います。それが現在ある課題の解決にまでは至っていないことは確かですよね。
ただ、文化や芸術に関することを法律で定めることで、行政がこれらにきちんと向き合っていかなければならないということを自覚しつつあることは評価できるかと思います。
いずれにせよ、この法律の影響を受ける我々が、賢く解釈し、よりよい発展のためにどうしていくべきかについて考える余地を、自由に与えられていると受け取れば、この法律も意味がないとは言えないかと思います。この法律化におかれる我々の力が試されている時なのかもしれません。
(芸・nbkm)
芸・nbkmさん
返信削除コメントありがとうございます!
たしかに劇場を使用する側の芸術団体を含め、公共ホールの力が試されているように感じます。
一方で、法律を解釈する余地があるということは様々な判例を作ることができ、劇場の発展はそれに関わる人々の努力に委ねられているということを行政側がすでに認めているという見方もできるかもしれませんね。
(芸・Marimo)