2012年7月6日金曜日

「余暇と祝祭」

毎週金曜日の授業が楽しみな茶・seikoです。
さて今日は「余暇と祝祭」(著者:ヨゼフ・ピーパー、講談社学術文庫)という本を紹介します。
直接的に文化マネージメントとは関係ないのですが、文化を享受し余暇を過ごす意味について考えさえてくれる一冊です。

何故この本をおすすめするのかについて、少し(少しではないけど)私自身の話を…


高校時代は週6の部活と毎年一万人以上の人が訪れる文化祭の準備を中心とした日々。

そして大学時代は専攻であったスポーツと、一方でミュージカル、オペラ、演劇といった舞台の魅力にみせられた日々。

人によっては舞台芸術とスポーツは遠い存在だと仰るかもしれません。
しかし実際に足を運び一度liveで見て頂ければ、何となくスポーツと舞台芸術の近い部分を理解して頂けるかと思います。

…っがそれはさておき、この様に自分にとってはスポーツや芸術ひっくるめた文化が生活の中心(軸)にあり、生きてる実感や元気を与えてくれる必要不可欠な存在でした。

しかし実際には、「文化は必要不可欠な存在だ!」と言ったからといって安易に理解して貰えるものでもなく、スポーツの人は舞台芸術について、舞台芸術の人はスポーツについて、その日常生活における意義を理解することは難しいという事実を知りました(近い分野であっても)。

そんな時期に就職や進路の悩みが重なり、「私は今まで何を大切に(多くの時間を割いて)生きてきたのか?スポーツや芸術は何で必要なのか?」…という疑問が心の中に溢れるのと同時に説明できない悔しさが重くのしかかってきました。

そんな時に紹介してもらった本が「余暇と祝祭」でした。

この本はヨゼフ・ピーパーが戦争で徹底的に破壊されたミュンスターにおいて、再建のため日々働きづめる人々を見つめながら書いた本だそうです。

そして本文の中では余暇を労働と対比しながら、ただ「休む」という意味の余暇ではなく、活動を伴う余暇とはいったい何なのか、そして余暇を行うことが何故必要なのか分かりやすく書かれています。

本編であげられた余暇の特徴がスポーツや舞台芸術と通じると気づいた時、自分では説明のできなかった部分について語ってくれているようで、心が軽くなったことを今でも私は覚えています。

本文はとても短く電車の中でもさらっと読める一冊です。
なのであえてここでは中身についてはこれ以上言及しません。

ですがきっとこれから文化に携わる人にとって、「なぜ文化が必要なの?」と真っ向から疑問を投げつけられたり、自分自身が悩んでしまった時にヒントを出してくれるような一冊ではないかと思います。

良かったらぜひ一度お手にとってみてください。

(茶・seiko)

3 件のコメント:

  1. seikoさん
    『余暇と祝祭』のご紹介、ありがとうございます!
    「活動を伴う余暇とは」という部分に特に惹かれ、すぐ読みたくなってネットの通販ではなく、新宿で本屋を回りましたが在庫切れでした…。明日も外出先で回ってなければ注文しようと思います★
    (青・さいとう)

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  2. 青・さいとうさん

    私も「余暇」の考え方が変わったことは一番の衝撃でした!
    もしかしたら少し古い本なので本屋さんにはないかも?しれないです…
    私はゼミの部屋にあって気に入ったのでアマゾンで買いました。

    茶・seiko

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  3. どうやら出版社にも在庫がないみたいで、私もアマゾンで注文しました。
    全国の書店、出版社の在庫状況がデータで一元管理されて検索できればいいのに…と思いながら、
    本の到着を楽しみに待つことにします!
    (青・さいとう)

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