2012年7月26日木曜日

人形浄瑠璃文楽への誘い


こんにちは、芸・fmiと申します。コメントではお邪魔していましたが、記事投稿ははじめてです。よろしくお願い致します。


さて先日、私は文楽公演に行って来ました。大阪にある国立文楽劇場での「夏休み文楽特別公演」内、第3部サマーレイトショーの『曽根崎心中』です。
公演2日目ということで、客席は満員。席も2列目とあって、至近距離で堪能してきました。お初可愛かったなぁ。

『曽根崎心中』は大変有名な演目なので、ご存知の方も多いと思います。江戸時代、大阪で実際に起きた心中事件が元になっているのですが、それが脚色され文楽として上演されたのが、なんと事件のたった1か月後!しかも主人公の「お初」「徳兵衛」は実名そのままです。今じゃ考えられませんよね()。当時の舞台はワイドショー的な要素が強かったんですね。

今、文楽といえば大阪市の補助金カット問題が話題になっていますよね。が、私はこの騒がれ方には少々疑問を感じております。
というのも、「市長vs文楽そのもの」の対立にすり替えて煽るような報道や論調が多く、それにより本当に議論されるべき問題(文楽協会のシステムや意義、天下り問題、補助金の使い道の正当性など)が隠れてしまっているように見えるからです。
また芸術ファン界隈でも、現状の検証無しに「文楽(芸術)=善」「補助金カット=悪」という単純な善悪二元論に終始した論調が多く、正直少し複雑な思いです。

私は文楽が好きですが、現行のシステムや運営法に問題が無いとは思いません。また補助金が市民の税金から賄われている以上、それの使い道に対する「議論」や「検証」はあって然るべきだと思います。
ただ、今の状態ではその議論、話し合い自体が成立していないように感じるんですよね…。
(ちなみに、文楽協会の意義を巡る議論は、文楽劇場開場のころからあったようです。しかしその後30年間放置され、今に至ります。)

とはいえ、これだけ注目が集まっている今は、文楽にとってある意味チャンス。これを機に少しでも興味を持つ人が増えればいいな…と思います。
皆さまも、この夏是非公演に足を運んでみて下さい。学生は学割が効き、約半額で観ることが出来ますよ!

大阪では国立文楽劇場で8月7日まで、東京では国立劇場で9月5日〜24日まで公演があります。




(芸・fmi)

2 件のコメント:

  1. こんにちは。茶・しぶです。はじめまして。
    fmiさんの投稿みて即予約、昨日大阪まで見に行ってきました。

    やはり昨日も満席状態、若い方も随分と多く、根強い人気を感じました。

    運営はやる気だけではできませんね。
    fmiさんのおっしゃるとおりだと思います。

    民博にもよったのですが、そこで民族と文化と伝統について考えさせられました。
    文化はそれぞれ〈固有の〉ものはないと改めて感じました。縦横する文化のなかで、ある国や地域は存在しているのですね。。

    日本の伝統芸能はどうしても御家流にしがみつきがちですね。その風潮が天下りの温床になっているように感じます。


    とてもよい機会を与えていただき、ありがとうございました。
    無生物の人形が生きている人間よりリアルなのには5列目でも思わず鳥肌ものでした。

    (茶・しぶ)

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  2. しぶさん、こんにちは。芸・fmiです。
    わわ、投稿見て即予約なんて…嬉しいです!しかも大阪へまで!

    「文化はそれぞれ〈固有の〉ものはない」との言葉、納得です。
    文化っていろんな地域や時代の流れの中で育まれていくものなのでしょうね。

    過去の「伝統文化」を当時のままパッケージ化して残し伝えていくのか、それとも生活に密着したものとして、時代や世の中の変化に合わせて変えていくのかは非常に難しい問題だなと思います。
    特に文楽のように、元々町人の娯楽的・時にはワイドショー的に楽しまれていたような文化は。歌舞伎は新しい試みに取り組んで一応成功していますが、だから文楽も同じように可能というわけではないですし。

    さらに、例えこの補助金カット問題が無くても、文楽の未来を憂うファンは多いです。技芸員の高齢化、有望な後継者の不在、志望者数自体の減少などが主な理由です。
    いろいろな意味で今、文楽は岐路に立っているのでしょうね。

    こちらこそ、コメントどうもありがとうございました!

    (芸・fmi)

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