2012年7月13日金曜日

おもしろ観劇キャンペーン


あたりさわりのない話から…
7月も半ばとなり、暑い日も多くなってきましたね。
しかし、私はまだ「夏だ」という実感がわいていません。

原因は、蝉。
みなさん、今年になって蝉の鳴き声を既に聞かれたかたはいらっしゃいますか?
私が中学生の頃は5月くらいから蝉の鳴き声がして、授業の先生の声よりもそちらに耳を傾け、夏休みのことを楽しみにしていたものですが、
今年は未だにその声を聞きません。
ちなみに私は成田というところで小学校・中学校に通いました。
成田は東京から離れたまあまあ自然の残るところなので、5月からというのはかなり早いと思うのですが、それにしても今年は遅いと思うのです。
何かの影響でしょうか?

早く 蝉の声を聞いて夏を実感したいものです。
以上、番外ゼミとセミをかけたお話でした。
 
 
……ということを先週下書きしていました。我ながら、オチが微妙ですね。
しかし、昨日やっと蝉が鳴いているのを耳撃!!
夏が来た!と感じております、芸・かさはらです。はじめまして。
紹介が遅れてすみません。現在学部4年です。
今は就職活動(シュウカツ)を終え、卒業論文に邁進しようとしているところであります。
大学ではアートマネジメントを専攻し、
学部3年まではこあずさんと同じく、「谷中のおかって」が主催する「谷中妄想ツァー!!」、「谷中妄想カフェ」という企画の制作運営に関わっていました。

このプロジェクトの舞台である谷中地域についてちょっと紹介すると、
谷中は、東京芸大上野キャンパスの隣に位置しています。
谷中霊園という墓地を中心に栄えたところなので、お寺などの昔ながらの町並みが残る場所ですが
新しいギャラリーやカフェなども多く、観光地としても注目されている地域です。
今話題のパンダ家族がいる上野公園が芸大の庭なら、谷中は芸大の裏庭…そんなように思っています。
妙なノスタルジックを醸し出す変な場所なので、ぜひみなさまおこしください。


谷中のことについてお話しすると長くなると思うのでまたの機会にでも。
今回は授業とも関係するような、このごろ私が面白いと思ったある劇場の観劇キャンペー ンについてご紹介します。
 
 
 
先月「ままごと」という劇団の「朝がある」という芝居を観ました。
この劇団の創る芝居は、私が大学に入って出会ったものの中で衝撃を受けたもののひとつですが、
今回は内容・感想については割愛させていただきます。
ここでお話したいのは折り込みチラシのことです。
演劇に限らずだと思いますが、そのジャンルのチラシがパンフレットと一緒にたくさん折り込まれますよね。
この時はビニール袋にまとめられてドーンと渡されました。

演劇のチラシのデザインって私はとても好きで、どれも観たい!と思わせるものばかりなんですが、結局行かないことが多いのです。
なぜ行かないのか。 私の場合、お金が無い、時間がないというありきたりな理由からでした。
あと、ほとんど演劇のことを知らないので、どんな作品がおすすめなのかわからないからです。

そんななか、目に留まったチラシが。

「10万円キャッシュバックキャンペーン」
え…10万円もらえるの!?

どうやら北区にある王子小劇場でおこなわれる「佐藤佐吉演劇祭」というものの一環のようです。
演劇祭期間中に披露される10演目を全てみたひとたちで10万円を山分けできるシステムだそう。
その10演目というのも、王子小劇場の支配人が今イチオシとする作品ばかりとのこと。
お金も戻ってくるし、今旬の作品が次々観られるっていうのは私にとってはすごく魅力的でした。

早速1演目目「劇団競泳水着」さんの芝居を観劇しに行きました。
まったく予備知識もないまま行ってみましたがとてもおもしろく、
その後も「まごころ18番勝負」さん、「悪い芝居」さんの芝居と、
調子に乗ってここまで3演目まで行けてます。

大体1週間に1演目のペースなのですが、
そんな頻度で観劇するのは初めての私にとってはこんな芝居もあるんだという発見になっており、
また、自分がどんな劇が好きなのか、趣向を把握する機会になっているなあと思っています。
あと、同じ舞台だからこそ、スタッフの配置やアナウンス、舞台の使い方、客席の使い方などを比べるのもおもしろいです。

 
きっと劇場・劇団にとっても、このキャンペーンは利点が大きいのではないでしょうか。
ただ欠点としては、キャンペーン自体はお客さんから「口コミ」で広がっていくことはないということでしょうか。
分母が少ないほどひとりあたりのキャッシュバック代は高くなるのですから。
(それとも、こんな腹黒いことを考えるのは私だけ…?) 
 

私は、このような劇場主催のお客さんを呼ぶための独自のシステムってどんどん広がっていったらいいなと思います。
芸術運営論の授業で先生がドイツの劇場を紹介されたなかで
シート(チケット)をとることでのお客さんとしての支援があることを紹介いただいたことがあると思います。

チケット代だけで賄えるのなら、もちろんそれが一番いいのです。
でもそれではどうしても収支が合わないから、その他の面での支援が現在日本で行われているのだと思います。
しかし今一度、お客さんを囲い込む仕掛けを見直すと、そこにもいろいろな方法があるのではないでしょうか。
その一例が、今回のキャッシュバックキャンペーンだったのではないかと思っています。

さて、ここまで書きましたが、
もしこのようなおもしろい観劇システムを他にも知っている方は、ぜひコメントお願いします!

(芸・かさはら)

【参考URL】
・佐藤佐吉演劇祭2012 公式HP
http://www.en-geki.com/sakichisai2012

・ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト公式HP
http://okatte.info/guruyami/


2 件のコメント:

  1. はじめまして。
    青・Ne3ともうします。
    私が芸術が合っていいなあと思うのは、海外に限らず見知らぬ土地へ行ったときに地元アーティストの作品にであった時ですね。
    有名なアーティストの作品ってどうしても先入観というか、先にいろいろな情報を得た上で見たり、評論家などによって普遍的な価値に落とし込まれてしまっている場合が多いのですが、地元のひょんな瞬間に会ったとき、なぜその作品がこんなところにあるのだろうとか、なぜこのアーティストはこの地で一生をアートに注いだのだろうとか、なぜ彼はこのスタイルで演奏するようになったのだろうといったように、単なる旅にロマンのスパイスを利かせてくれる存在であることが多いので、いいなあと思いますね。
    そういう町ってわざわざ自治体が必死になって「町おこし×アート」なんてしなくても自然に文化が生活の一部として根付いていて、町自体も自然と享受していて、文化と町と人が解け合っているんですよね。しかも、そこに惹かれてまた別のアーティストがよってきたり。

    「お客さんを囲い込む」試作は、大きな広告代理店はじめ日本はそこそこがんばってる方ですが、そういった付け焼き刃的な施策やプロモーションよりも、今日本の文化産業に求められているのは、芸術文化を当たり前に享受できる土壌作りだなとつくづく思いますね。
    ただお客さんを増やせば良いのではなく、文化として継続させるための一員として観客をとらえ、育てていくことが重要なのではないかと考える日々です。

    (青・Ne3)

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    1. 芸・かさはらです。コメントありがとうございます。
      確かに、一時的なプロモーションはそのあとは観客任せですから、本当にそれが文化の土壌になりえるのかといわれたら疑問符がつきますね。

      私にとっては演劇に対する教養を深めるところまでいっても、他の人は割引目的でやっているかもしれないし…うーん、そんなひとはいないと思いますが。
      1,2回分公演がタダになるくらいのキャッシュバック額なので。

      でも、文化を当たり前に享受していくための「きっかけ」にはなっていると思います。
      今は、そういうきっかけを作って、質の高い経験を積んでもらうことが、お客さんを育てることに繋がっているのではないでしょうか。

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