2012年7月24日火曜日

広報について

みなさま、楽しい夏休みを始めていますか。
芸大のHyo(ヒョウ)です。

私は先週まで韓国に行ってきました。74日から20日まではソウル・マージナル・シアター・フェスティバルが開催されました。私がコーディネーターを務めているフェスティバル/トーキョーに比べると50分の15分の1ではありません)の予算で開催されるフェスティバルで、全体的な規模はもちろん小さいです。厳しい予算の中でも今年は15演目がプログラムされ、私が観劇した演目はどれも観客がいっぱいでした。

フェスティバルで作品を制作する予算はなかなか削減が出来ないので、少ない予算は人件費と広報に直結します。そこで日本の舞台芸術における広報について改めて考えるようになりました。

私を含め海外からの人が日本の劇場に行って驚くことの一つは、ものすごい量のチラシが置いてあることです。また、どの劇場やフェスティバルに行っても、パンフレットやチラシ等広報用の資料がとても充実しています。最初は紙がもったいないとか、お金かけてるね、くらいを思ったのですが、自分がフェスティバルに関わってからは、あまり大したこともないチラシ一枚を作るのにも大変な作業が必要だということが分かりました。フェスティバル/トーキョーでもパンフレット一つ作るために、20人ほどのスタッフが長い間取り組まなくてはならないのです。

海外のアヴィニョンフェスティバルやクンステンフェスティバルのようにもっと規模の大きいフェスティバルにもパンフレットはありますが、ほとんど文字中心にしてシンプルな編集になっているので、手間はそれほどかけなくてもよさそうです。また、公演直前まで決まらないことも色々あるので、パンフレットに乗ってない情報や間違ってる情報もあります。もちろん、その部分はネットの情報やフェスティバルセンターのようなオフラインの空間で補われます。

形を重視する日本の文化の中でも、劇場での広報は特に時代遅れではないかという気もしますが、すでにこのような広報に慣れてそこから情報を得ている観客も多いので、もっと効率的な方法がないかなぁというのが、最近私の悩みどころです。

(芸・Hyo

4 件のコメント:

  1. とても興味深く読ませていただきました!
    韓国と日本の予算の違いにはもちろん驚きましたが、
    いままで広報に着目したことがなかったため、Hyoさんの視点は私にとって非常に新鮮でした。
    確かに、日本の文化活動関連の広報は未だにチラシ過多で、もっと工夫の余地ありだなと感じます。
    今後、コンサートや演劇など、様々な広報の在り方に注目してみようと思いました。(茶・kinaco)

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  2. はじめまして、茶・harryです。
    私はダンス公演のチラシ作成に携わったことがあるのですが、
    確かにチラシの作成や折り込み作業にかかる費用や労力の割には効果が少なく、
    何か改善できないものかということを感じていました。
    これまでは日本以外の広報の仕方に目を向けたことがなかったので、
    芸・Hyoさんの記事を読んで、韓国をはじめ他の国の状況にも目を向けながら
    この問題について考えてみたいと思いました。

    茶・harry

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  3. 広報は非常に重要なファクターですよね。
    私が携わらせていただいたアートプロジェクトでは、広報戦略会議なるものを行っています。
    これは、単にデザイナーやライターが集まってチラシやポスターのデザインや文言を考えるのではなく、
    このプロジェクトの対外的に、あるいは対内的にどう見せていくか、
    また、そのためにはどのように企画し、運営していけばよいかということを考えるものです。
    つまり、広報がプロジェクトを動かすエンジンとして機能するように仕掛けているのです。

    従来のように、「広報=チラシやポスターを作って宣伝すること」と考えてしまうと、
    その在り方をどうすればいいかという戦術的な部分に焦点が当たり、行き詰ってしまいます。
    そうではなくて、「広報=プロジェクトを推進する戦略」と考えると、
    もっと大きな視点でプロジェクトを捉えることができ、
    人びとにこのプロジェクトを浸透させていくには何が有効かという部分に焦点が当たります。
    そうすれば、チラシやポスターはあくまで一手段であって、それに必要以上に頭を悩ませる必要はないということに気づきます。


    予算の潤沢に与えられない文化や芸術だからこそ、小手先のチラシやポスターに惑わされるのではなく、
    どこにお金をかけて、かけないかなどを冷静に見極められるような広報活動にしなければならないなと感じます。

    (芸・nbkm)

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  4. Hyoさんはじめまして、茶・jasmine@seaです。
    日本のチラシは外国の方にとってフシギな光景なのですね。それは恐らく、博物館においても同じだと言えるでしょう。
    私は博物館に行くと、そこに置いてある他の博物館の特別展等のチラシをもらって、次はどこに行こうかと考えることが多いです。

    ただ、チラシの量の多さが特徴的であるというお話を聞いて、それならそのチラシに特別展に行きたくなるような情報をもっと盛り込んでもいいのではないかと思いました。
    通常チラシにはその特別展の内容に関わるようなことは載っていません。しかし、さわりの部分でも載せることで、より興味関心を喚起できるのではないかと思いました。
    実際に特別展に足を運んでもらうまで行かず、収入に結びつかなくても、チラシというものが広告媒体から教育効果をもったものになるなら、それはそれでありなのではないかと思います。
    せっかくお金と労力をかけてチラシを作るなら、少しでも効果(集客効果・教育効果)のあるものにする必要があるなと思いました。

    (茶:jasmine@sea)

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