2012年7月31日火曜日

初めて投稿させていただきます。
東京藝大学部3年の森本菜穂と申します(芸・nahoで投稿させていただいています)。
笠原さんや小林さんと同じく一般社団法人谷中のおかってというアートプロジェクトを企画運営する団体に参加させていただきながら
「ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト」に関わっており、この現場とは今年で3年目のお付き合いになります。

わたしは昨年と今年でタイプの違う2つの企画を担当しました。
最近それぞれの魅力と難しさについて考えることが多くなったので、こちらに書かせていただきます。

昨年担当したのは、京都在住の陶芸家きむらとしろうじんじんさんによる「野点」という企画です。
招聘したアーティスト、じんじんさんはとても有名な方なのでご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、
ドラァグクイーンのような出で立ちのじんじんさんがリヤカーに素焼きのお茶碗と陶芸釜、釉薬を積んでまちに現れ、
まちの風景や行き交う人々の中でお抹茶陶芸屋台をおこなうという企画です。
日常的な風景の中に、派手な装いのじんじんさんと窯を囲んで人々が集まっている場が立ち上がる光景は非日常的で、
何が起こっているのか、誰が集まってきているのかというわくわくするような謎と魅力を感じられます。
今年度は岩手県大槌町で開催予定です。



そして、今年度担当していて、いま開催まっただ中なのが「谷中妄想カフェ〜ちょうちんもってちょっとそこまで〜」という、夜の散歩企画です。
この企画は〈谷中のおかって〉のオリジナル企画です。
情緒あふれる台東区谷中地域の静かな夜のまちなみを個性的なナビゲーターに導かれてめぐり歩き、
ろうそくの火が灯されたちょうちんのあかりで味わう散歩を提案しています。
昨年に引き続き2年目の開催です。

↓〈谷中のおかって〉blog
http://blog.okatte.info/?eid=37
↓TABlog「谷中妄想カフェ~ちょうちんもってちょっとそこまで~」-昨年開催の際に記事にしていただきました。
http://www.tokyoartbeat.com/tablog/entries.ja/2011/08/moso-cafe-yanaka.html


この2つの企画の大きな違いは、魅力的な存在の"アーティストとその作品"があるか否かです。
「野点」の運営の際にはじんじんさんと話し合いを重ねながら〈谷中のおかって〉にとっての開催の意味合いも考えて運営していましたが、
その根本にはやはり「野点」のコンセプトが大きく存在し、その周辺を固めていく作業が主になっていました。
なおかつまちの方や行政の方に説明をおこなうときにもパッと派手なビジュアルが示せることや、
じんじんさんの言葉を咀嚼して伝えられることにもどこか寄りかかってしまっており、
〈谷中のおかって〉が当企画をおこなう意味合いを言葉にしていくのは最も重要なことでありながらなかなか考えられていませんでした。
またじんじんさんはファンが多く、スタッフやお客さんの呼びかけをおこなうと遠方からたくさんの方々が訪れました。


しかし、「谷中妄想カフェ」の場合は目玉アーティストが存在しません。
つまりコンテンツを充実させ、それを発信していく方法も工夫していかなければ人を集めることも出来事を起こすことは出来ません。
本番ナビゲーターやパフォーマーをやっていただくのは〈谷中のおかって〉の声かけによって集まったボランティアスタッフのみなさまです。
彼らに気持ちよく関わっていただき、力を存分に発揮していただくことが企画の魅力に直結します。
また、まだ若い団体ですがファンの獲得にも力を入れていかなければなりません。


いま、このコンテンツの魅力を企画運営側で共有していくことの重要さ、そして難しさを感じています。
業務連絡のためのミーティングだけでは共有しきれない、言葉にすることも難しいような魅力の予感を話し合うことの必要性、
またそのためのチーム作りがいまさらながら課題になっています。
このままでは外から人を呼び込み受け入れていくための器が用意できないと感じ、少々焦っています…

最低限の運営スキルを身につけ、現場を安定したものにしていくことに加え、
アーティストが居るかどうかに関わらず、「この人たちと一緒に活動してみたい!」と思っていただける団体になることが、
継続して文化を創造していくという流れに身を置いて活動するために必要なことだと感じています。


そのメソッドはおそらく存在せず、出来事を起こし続けることでしか得られないと思いますが、
これからもその部分にも意識をおいて取り組んできたいと思っています。

(芸・naho)

3 件のコメント:

  1. はじめに、とてもインパクトのある写真に惹かれました!(笑)
    目玉アーティストの存在の有無は、文化活動を行う上での一つの大きなポイントですよね。

    著名度に欠けていても、だからこそ「コンテンツの充実」に力を入れ工夫するということは、活動の規模がどんなに小さなものであっても、その意義をまず参加者自身が体感する上でとても大切なことだと思いました。
    様々なご苦労があることと思いますが、nahoさんのブログを読み、活動にとても魅力を感じました!
    谷中は近所なので、ぜひ実際に見てみたいな…と思います。(茶・kinaco)

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  2. もう10年以上前になると思いますが、私自身もじんじんさんの「野点」に2回参加しました。記事を拝見しとてもなつかしく思ったのと同時に、永く人々に愛されているのだなと実感しました。
    nahoさんの記事を拝見し、参加した立場として、そのときどんなところを魅力的に感じていたのか考えました。
    そもそもは知人の勧めで参加したのですが、同時小学生だった私にとって、自分で自由につくった器でおいしいお茶が楽しめる、ということだけでとても魅力的でしたが、何よりも私をひきつけたのは、次のようなことだと思います。地元の馴染みある場所で、気さくで親切、スタイル抜群で美しいじんじんさん、そしてそこで出会った人々とふれあいながら、「野点」を楽しめる、ということです。その数週間後には、兄弟や友人を誘って再度参加しました。

    nahoさんはさまざまな催しにご尽力していらっしゃるようで、ぜひお話伺いたいです!nahoさんの記事のおかげで、自分がそのような催しを通してどんなことを必要としているのかはっきりしてきたような気がします。企画運営者や他の参加者の思いも大変気になります。(茶・ume)

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  3. 私、谷中に住んでいるのですが、去年のじんじんさんの野点の会場にいました。
    (お花屋さんの近くでしたよね?)
    nahoさんの企画だったなんて、驚きです^^

    あの野点はうちの母や近所に住んでいる叔母も興味津々で、とっても話題になっていました。
    じんじんさんのインパクトある見た目と、優しい物腰は谷中のおばさまの心を掴んでましたね。
    企画自体も素敵でしたし、あのあと家族で「あんな風に陶芸や抹茶をお外で楽しむのも素敵だね。形式ばったものかと思って、敬遠していたよ」と話をしました。

    芸術や文化が崇高なものとして敬遠されるのではなく、もっと地域に密着していてもいいんだ
    そんな風に感じられる企画でした。

    父は谷中周辺で行われるウォークラリーには参加できるものは積極的に参加していますし、そういう企画がある事を喜んでいます。
    風情ある街を、下町めぐり~といって遠方から来た人だけでなく地域の人も楽しめるようなそんな企画だと私達も嬉しいです^^

    (茶・宇治)

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